秋田への帰省の旅にて

 お盆の15日に兄の三回忌をやるというので14日に秋田に向かった。お盆の帰省で混雑すと思い熊谷から東京駅まで新幹線をお迎えに行き、始発列車に乗ることにした・・・幸い自由席の座席が確保でき山形経由で新庄に向かった。昔は新庄駅で停車の合間に立ち食い蕎麦を食べて空腹を満たすことができたのに、最早立ち食い蕎麦はありません・・・その先はローカル線で湯沢に向かうことになる。のんびり走る列車の窓から景色を眺めながら色んなことを思い出していた・・・

 

○わずかなる段差をなして連なれる稲穂の黄ばむ帰省の車窓

○処々に見ゆ休耕田に草生へて心寂しく車窓に眺む

○沢山の土産抱へる乗客に席譲りくる若きカップル

○帰省客の開かぬドアに戸惑ひて運転席に駆け寄りて問ふ

○古里の山川早く見たくなり腰落ち着かぬ各駅停車

○家々の防雪林に囲まれてベンガラの屋根ぽつぽつと見ゆ

 

 こうして湯沢に着いてみると、50年も前から上京のとき、帰省のときに見慣れた懐かしい駅舎の改築が始まっていた。工事用のシートに囲まれた狭い通路を通って外にでると甥子が迎えに来てくれていた。

 車の中からだんだん近づいてくる故郷の山や川を眺めながら実家に着いた。実家について上着を脱いで落ち着いてみると、開け放しの窓からの風の涼しいこと・・・熊谷ではクーラーをつけないと暮らしてゆけないのに、外からの風は、むしろ寒いくらいで長袖のジャンパーを借りてはおった。排気ガスのない山里の風は美味しかった・・・