うたごえ喫茶”ともしび”が熊谷にきた

「新宿のうたごえ喫茶”ともしび”が熊谷にやって来る」というのが我家にとって今年最初のニュースである。家内が『昔ともしびに行ったことがある。』というので出かけることにした。晴れていたが北風がひどく寒い日だったが車で『熊谷文化創造館』に向かった。

 青春時代にうたごえ喫茶に通ったと思しき人で満席状態であったが、レンタル歌集2冊ずつ手をにして最後尾に席を確保して開演を待った・・・最近はカラオケもやってないし、歌えるかなあと思いながら、リクエスト曲を1枚出しておいた。

 準備運動として「はるがきた」を歌いながら、両手を交互に上に伸ばしながら歌ったら、思いのほか声が出せたのである・・・調子に乗って次々と歌った。直ぐ近くに合唱をやっている方が居るらしい・・・ソプラノの澄んだ声が聞こえてくる。”うたごえ”は歌の上手さではないと思い直しめげずに歌った。

この第1歌集の歌は、殆ど馴染み深いもので大声を出して歌うことができたが、赤い表紙の第2歌集には、新しい曲目も多く、中々ついて行けなかった・・・

息子はよく歌番組を観ているが、矢張り普段の生活で歌を歌わなくなったせいであろう。

今回の催しには地元の”虹の演劇鑑賞会”、秩父市うたごえ愛好会、利根川を挟んだ太田市のうたごえ喫茶がスタッフとして協力しているそうである。”いたごえの活動”は、こうして根強く続いているのかと思った。

このような背景もあってか、昔よく歌われた反戦歌も選曲されていたように思った・・・

   <Baby Boo>
   <Baby Boo>

”ともしび”で歌っていたという神戸出身のアカペラ・グループのゲスト出演があった・・・中々ライブで聴く機会がなかったが、その迫力に圧倒された。蛇足ではあるが、2月5日(木)の夜8時から、通称”木8”に出演するそうである。チャンスがあったらご覧あれ。

 休憩時間にCDを2枚買い求め、「思わぬ出費をしてしまった。」と言ったら販売員も苦笑していた・・・

第2部はリクエスト・コーナーから始まったが、何んとその数は100件を超えていた。そして1曲目に私がリクエストした『雪の降る街に』が選ばれたのである。私はリクエストのコメント欄に『高校時代に友達と雪の降る夜の街で歌った懐かしい思い出の歌です。一緒に歌った仲間が、既に三人も亡くなってしまったが、その歌を聴かせてやりたい気持ちが湧いてくるのです。』と書いたのを読んでくれたのであろうか・・・『雪の降る街を』を歌いながら、遥か昔に街灯の灯りにチラチラ降る雪が映し出される雪の道を高校の校門に向かって歩いた情景を思い浮かべていた・・・

『いやごえ喫茶ともしびライブ』のCDが数種類並んでいたが、何故かこの『啄木の魅力を歌う』CDが1枚だけあったので買い求めた・・・家に帰って聴いてみたが、数年前に秋田の高校の先輩がカセットにコピーして送ってくれた”伊藤久雄”が歌った啄木の歌の方が朗々としていて、耳に残ったように思う。

CDの終盤に与謝野晶子の『君死にたもうこと勿れ』と島崎藤村の『惜別の唄』も収録されていた・・・啄木は『明星』の与謝野鉄幹に認められて短歌を詠み、夏目漱石と島崎藤村に憧れて小説を書き始めたようだし、同じ時代に生きた文人たちなのだ。高校時代にこの『惜別の唄』を歌っていた仲間の顔を思い出す・・・

このCDには『山の子の歌』が収録されていたので、迷わず買ってしまった。大学祭の後夜祭で実行委員会の仲間とスクラムを組みながら壇上で歌った唄なのだ。”うたごえ”のチコちゃん・・・真っ赤なほっぺでいつもにこにこ笑っていた。ずーと後になって『チコちゃんは今どうしているだろう。』といったら武田さんが電話を繋いでくれた。矢張り元気で張りのある声が聞こえてきた・・・そして”うたごえ”をやっていた小森さんは、どうしているのだろうなどと思い出すのである。

 会社に入ってからも、大して芸のない私は宴会で『山の子の歌』を歌ったら、『雪山賛歌』を合唱してテレビに出たことあるという先輩がこの歌を気に入ってくれて、ことあるごとに『山の子の歌』を歌わされる羽目となった。

 

○ 『うたごえ』のビラを配りき詰め襟の津軽訛りの友は何処に

○ 革カクマルのゲバ棒持たねど手をつなぎうたごえ喫茶に反戦歌ひき

○ 反戦の唄を歌ひしデモ行進上田通りに熱気溢れき

○ 『うたごえ』に反戦うたひき青春の血潮のたぎり懐かしきかな

○ 大学祭キャンプファイアーに頬染めて仲間と歌ひき『山の子の歌』

○ 学内にアジ看板もビラもなく校門に立ち独り寂しも

○ 『ともしび』の熊谷出前のイベントに集ひ来し人生き生きと見ゆ

 

学生時代には『ベトナム戦争』が続いていた・・・そして『湾岸戦争』、『イラク戦争』、テロとの戦い、内紛が46年も経った今もどこかで戦争が続いている。2月1日に『イスラム国』が日本人ジャーナリストを惨殺したとのニュースが流れた・・・いつになったら世界中が穏やかになるのであろうか。

おそらくそんな平和な世の中を実感できずに”さよなら”を言うことになるのだろうと思うと遣る瀬無い気がする・・・

それでも思い直して、4月18日に熊谷にやって来るうたごえ喫茶”ともしび”にまた行ってみようかなあと考えている。