鈴木良雄と山本剛 が熊谷に (16.8.24)

 新宿のジャズスポットJに行ったときに、Chinさんから8月24日熊谷でライブの予定だと聞いていたので楽しみにしていた。会場のDJANGOは、市役所通りの熊谷中央郵便局の向かい側にある。そこは毎年初詣に行く高城神社の近くでもあり、参拝の時などに見かけていたし、熊谷市内の中心部にありとても良いロケーションではあったが、入場したことはなかった。

 今日は、早めに夕食を済ませ、勇んででかけた。

 入り口も中々洒落た造りの会場はB1であった。ただ、会場のDJANGOのHPでスケジュールを確認した時に、今回の演奏予定が掲載されていなかったことが気がかりであった。我々は、最初の入場者であったが、今晩は混雑するからと言って端の方の席に案内された。

 しかし、開演の時間が近くなっても、我々を含めたった5人しか聴衆はいなかった。やはり、公演スケジュールが知れ渡っていなかったようだ。

 こんなにかっこいいチラシができていたのに、これを手にしたジャズフアンが殆どいなかったのであろうか。

 鈴木良雄さんも山本剛さんもジャズ界では、良く知られたプレイヤーであり、入場料もワンランク上なのですから、ジャズの好きな人ならやってくるはずだ。

 Chinさんと山本さんが、せっかく熊谷にやって来てくれたのにお客さんが少ないことに腹立たしく思っていると、息子がたまりかねて、スマフォでDJANGOのHPを示しながら、カウンターの中にいるマスターに抗議を始めた。

 観客が少ないこともあり上演が遅れたので、Chinさんに話しかけることができた。早速、Chinさんにサインしていただいた本を送った友人の奥様が、「バイオリンの鈴木メソッド」でChinさんの叔父さんから直接指導を受け、アメリカ留学を果たしたことを伝えると、ご縁とは不思議なものですねと喜んでくれた。

 演奏が始まると、Chinさんが真ん中のいい場所で聴くようにと促しながら「ゆったりと楽しんでください。」言ってくれた。この時は、まだ観客5名と寂しいスタートではあったが、その中の一人は、ナップサックを背負ってやって来た若い女性で宇都宮からやって来たChinさんと山本剛さんの熱心なフアンであった。

 Chinさんと山本さんとのデュオは、これまでに何度か聴いたことがあるが、何時ものような息の合ったスタートではなかったような気がした。それでも二人が目で合図を交わしながら、しだいに調子を取り戻してくれた。

 山本剛さんのピアノのアドリブは、相変わらず何が飛び出すかわからない楽しさがあった。私に、そのすべてを聞き分ける耳を持っていないが、後で息子の話を聞いて、ああそうだったのかと二度楽しんでいる・・・

 今日は、第1ステージが終わったあとでカウンターで山本さんと話ができた。名前が”つよし”と同じで、北国の佐渡生まれということもあり、以前から親しみを感じていた。お酒のせいもあるかも知れないが、とても気さくに話ができた。そこで、山本さんのアドリブに組込む曲目は、初めから織り込み済みなのかどうかを尋ねると、アドリブの予定などしていないが、演奏中にどこからか湧いてくるんだよと語ってくれた。

 一方、Chinさんは第1ステージの終わるころにやって来たDJANGOの社長と何やら話をしているようだ。

 どうやら、お客さんの来場が約束と違うとクレームを言っている様子が、漏れ聞こえてきた・・・

 ここのDJANGOの社長もジャズのキタリストとして演奏しているのを何度か聴いたことがる。彼も同じプレイヤーとしてお客さんの少なさに驚き、外にでて懸命に電話をかけていたようであった。

 しばらくすると、既にお酒を召し上がっているような方々が三々五々やってきた。中にはご家族で子供連れのお客さんもやってきたが、演奏曲も残り少なかった。

 Chinさんがラストの演奏曲を告げると、DJANGOの社長が何かを書いた大きな紙を手渡した。それを見たChinさんは、「もうワンステージは無理です。演奏曲の編成もあるし、これはインポッシブルです。」と少し憤慨した様子であった。それでも流石にプロの演奏家ですから、アンコールに応える形で3曲ほど演奏し、陽気で楽しくなるような曲目で締めくくってくれた。

 拍手の中、私が持って行ったジャックダニエルのボトルを手渡すと「何時もありがとう。」と言って喜んでくれた。今晩は近くのホテルに泊まると言っていたので、山本さんとホテルで召し上がってくれたかもしれない・・・