鈴木良雄&増尾好秋 Gface Cafe 2017.11.18

 10月8日に「横浜ジャズ・フェス」に出かけ鈴木良雄&ベーストークのライブに参加した。久しぶりにベーストークのライブを聴いて至福の時を過し、また息子が岡部洋一さんのCDとDVDを買い求めサインをもらい親しくお話もできた。

 その時、サイン会を終えた鈴木良雄さんともお話して11月18日に前橋のGface Cafeで予定されている「鈴木良雄&増尾好秋」のライブに行くことを約束した…

 今日前橋「Gface Cafe」の開演は18:00なので早めに家をでたが、今回は順調に会場に着いた… 

 会場には16時過ぎには着いたが、開場は16:45ということで、暫く待つことになったが、その間二人のリハーサルを聴くことができた…私が外で一服していると携帯が鳴った…戻ってみるとリハーサルを終えた鈴木良雄さんとご挨拶できたのにと、息子が、少し興奮気味な面持ちで待っていた…

 会場の入口には「OLD PAL 古き良き友」と書かれた鈴木良雄さんと増尾好秋さんの写真が、ライブの案内にプリントされていた。

 更に「世界に名を馳せるトップジャズプレイヤーのspecialライブ」と書き添えられていた…

 お二人の間柄については鈴木良雄さんの著書「人生が変わる55のジャズ名盤入門」でも読んでいた…彼らは早稲田のモダンジャズ研究会の頃からの友達で、この本では「第2位ソニー・ロリンズ」の節に登場する。

『僕がにNYに行ったばかりの頃、もうジャズ・ギタリストの増尾好秋がNYでソニーと仕事をしていた。ソニー・ロリンズのところに、ボブ・クランショウというベースがレギュラーでいたんですが、、急にツアーに行けなくなったから一緒に行かないかと、増尾がソニーに紹介してくれたんです。フィラデルフィアの「ジャスト・ジャズ」というジャズ・クラブで、2週間一緒にやりました。』

と50年近くまえのことが書かれていた。そうした鈴木良雄&増尾好秋のデュオには大いなる期待をよせて、開場されるのを待った… 

 定刻に開場となり、この写真右側の最前列のテーブルに座った。入場券の半券で赤ワインを頼んだ…そして夕食にパスタもオーダーした。量は少なめながら、これがとても美味しくワインを飲みながら食べた。

 この場所は最適だった…これまで真近で聴く事の無かった増尾さんと至近距離なのだ…

   アルバム「Around the World」の収録曲

1. セイリング&ローリング (Yoshio Suzuki)

2. 80日間世界一周 (Victor Young)

3. アイル・ビー・ウィズ・ユー(Yoshiaki Masuo)

4. バークリー・スクエアのナイチンゲール(E. Maschwitz-M. Sherwin)

5. ムーン・スルー・ザ・ウィンドウ(Yoshio Suzuki)

6. マイ・アイデアル (L. Robin-N.Chase-R. Whiting)

7. イン・ザ・フィールド (Yoshio Suzuki)

8. マイナー・アジャストメント(Yoshiaki Masuo)

9. ディープ・イン・ア・ドリーム (E. De Lange-J. Van Heusen)

10. ラスト・ラヴ (Yoshio Suzuki)

11. コーヴァリス (Yoshiaki Masuo)

12. ミュージック・フロム・ザ・レイク (Yoshiaki Masuo)

 今夜は、このアルバムから演奏された…このアルバム収録中に、あの3.11大震災がやって来たと、Chinさんが感慨深げに語った…

 「古き良き友」鈴木良雄&増尾好秋デュオの音色は会場に響き渡った…何なんだろうこの二人は…60年近い旧友だと語るChinさんと、互いにリスペクトし合いながら、相手を引き立たせるような絶妙なバランスが、聴衆を無我の世界に誘ってくれた…

 息子と私は息を呑んで聴き入った…

 MC Chinさんの駄洒落トークも楽しみの一つだが、今日は増尾さんに「いいだろう」と問いかけながら1970年の渡辺貞夫カルテットのメンバーとしてのヨーロッパ、アメリカ・ツアーにも話が及んだ…

 そのツアーでNYからロスへの移動中に増尾さんが消えてしまったという…増尾さんはアリゾナにいる恋人に会いに行ったのだと…

 でも、その後、その恋人と結婚し、今はバージニアに住んでいるという。

 そして現在は、年老いた母親の事もあり、3ケ月ごとにアメリカと日本を行き来して、演奏活動を行っているとChinさんが話してくれた…このように、旧友ならではのエピソードを聞かせてくれた。

 増尾さんは少し照れ臭そうにしながらも、Chinさんの話に頷いていた…

 しかし、一旦演奏が始まると増尾さんの立ち姿は一変する…ギターを抱えた増尾さんのスタイルも音色もスマートだった。流石にジャズの本場アメリカで鍛え抜かれた増尾さんの演奏スタイルなのであろう… 

  ギタリスト:増尾好秋
  ギタリスト:増尾好秋

 上の写真は増尾さんが愛用のギターだ。

ほかの観客も出てきて写真を撮っていた…

 今回のライブで増尾さんと身近に接することができ、そのお人柄を伺い知ることができた…1stステージが終わった時、直ぐ目の前で演奏していた増尾さんに息子が声をかけ、CDへのサインをお願いした…すると、友達と食事をするからと言って控室に戻った。

 でも、増尾さんは、ほどなくやって来て、息子の前に坐った。休憩時間中にサインしてあげようと急いで食事を済ませたようだ…

 私は、このような誠実な増尾さんの姿勢から、そのお人柄を感じとった。

 そして12月9日「Our Delight」の増尾さんのライブを見に行くと伝えると、「今日とは違うライブを楽しんでください。」と言って私と息子に握手を求めてきた…

 このCDはアルバム「アラウンド・ザ・ワールド」で、既に頂いたChinさんのサインを眺めながら、丁寧にサインしてくれた。

 そして、本当はもっと大きな音が出せるんですよと言いながら、ちらりとギターの方に目をやった…そうか、リハーサルの時にマスターが会場の後ろの方から合図を送っていたのは、この会場に合わせて音量や残響などをチューニングしていたのかと改めて思った…アーティストは、開演前にこれほどまで気配りするものかと…

 休憩中にマスターがマイクを持ち、カメラやスマホのシャッター音を消音して下さいとアナウンスした。そして「OLD PAL」というカクテルをバーテンダーがシェークしますよと案内した。私は、早速そのカクテルを頼むと、ほどなくカクテルと水が運ばれてきた。

 そのカクテルを口にふくむと仄かな渋みが残った…暫く口の中に広がった渋みを味わってから、添えられた水を飲んだ。

なるほど、このカクテルは、こうして味わうのかと思った…

 2ndステージの最中、私のスマホの呼び出し音が鳴ってしまった。たまたま演奏の合間ではあったが、Chinさんがすかさず「誰だ、携帯が鳴っているぞ!」と言ったので、慌てて止めた…私は、開演の前にわざわざ消音モードに変えたはずなのにと悔やんだ。

 ライブが終わってから、持参したジャックダニエルをChinさんに手渡した。そして耳元で「携帯を鳴らしてしまったのは私です。」と小声で謝罪すると、Chinさんはにっこり笑って「太っ腹!太っ腹!」と言って慰めてくれたが、申し訳ないことをしてしまったという気持ちでいっぱいだった…

 流石に「鈴木良雄&増尾好秋」のライブは満席だったので、帰りがけにマスターに声をかけて訊いてみると、今日は50人以上入りましたと笑顔で応えてくれた…

 大満足で車を運転する息子は、帰り路を少し間違えてしまったたが、直ぐにリカバリーできたので、順調に帰ることができた。

 私は、ライブでの感動を確かめるように、CDを借りて二人のサイン入りのアルバムを聴きながら床についた…