バイソン片山トリオ SPACE1497 2017.11.23

 今年の夏7月13日「バイソン片山トリオ」のライブに参加した。その時バイソンさんに11月23日のライブにもまた来ますと約束した…今日は23日勤労感謝の日なので孫のとこへ遊びに行き遅くなったので、夕飯はコンビニ弁当で済ませSPACE1497へ向かった…

 雨の予報だったが、幸い晴れた。

 会場に入るとスーツ姿のバイソンさんが、ドラムの前に坐っていた。そして開口一番、「しまった、約束したレコードを忘れた」と息子に声をかけてきた…バイソンさんのデビュー当時のジャズ・アルバムが賞を受け、記念に100枚プレスされたレコードを家の中を探したら、まだ6枚あったので用意しておいたのにと付け加えた。車に積んでおくと変形してしまうしなあと呟いた…

 そして、12月18日に来るときに持ってくるよとも言っていた。

 この写真に写っているテーブルが、いつもの席である…昨夜、マスターに電話して予約の確認させてもらった。やはり、この席に予約の紙を置いてくれていた。いつもの席に座り、いつものビールを呑みながら開演を待った。そして、いつものテーブルでワインを飲みながら待つ馴染みのフアンのグループが居て、互いに挨拶を交わした…

 今日は休日でお出かけの方が多かったせいか、お客さんは10人程であった。それでも、バイソンさんは「今日はミウチシャン(身内)の集まりですね…」と明るくジョークを言いながら始めた。今日は青山学院での演奏を終えてからやって来たと続けた…

 そうか、それでジャケットとネクタイ姿でのライブになったのかと納得した。

今日のライブもピアノ:小池純子、ベース:ブレント・ナッシーと息の合ったトリオである…この三人は目配せ一つでどんな曲でもジャズに仕立ててしまう力量を備えたプレイヤーなのである。今晩のライブは、そのことを裏付けるかのように、観客からのリクエストに応える形で進行していった… 

 馴染み客から「聖者の行進」がリクエストされた。するとバイソンさんは、片手にマイクを握りサッチモの愛称で知られているルイアームストロングの物まねで唄ってくれるというサービスぶりであった…

 まさに、みんなミウチシャン(身内)のようなアットホームな雰囲気に浸った…

 次のリクエストは、何か日本の演歌のようでしたが、この曲を三人でやるのは初めてと言いながらも、小池さんがピアノでメロディーを弾きだした。するとバイソンさんがドラムでリズムを刻み、タイミングを見計らってナッシーさんのベースが加わり、次第に盛り上がっていった…

その曲の進行とともにそれぞれが思い思いのアドリブを入れて来て、一つのジャズになっていった…

 バイソンさんがマイクをとり、初めて出会った人とでもこうして互いの音で会話できるのが、ジャズなんですよというと、ナッシーさんが「THIS IS THE JAZZ!」と少し興奮気味に大きな声で言った…この場面に感動をもらった。

1stステージが終わった休憩時間に、息子はピアノで「枯葉」を聴きたいと小池さんにリクエストした。小池さんも得意な曲らしく、快く引き受けてくれた…

 確かに彼女のピアノが心に沁みて来たが、

それにベースもドラムも彩りを添え、色とりどりの秋の景色のなかに、もの寂しさも感じさせてくれた。この季節、秋の景色を思い浮かべながら「枯葉」を満喫した…

 バイソンさんは、突然手招きして観客の一人を呼び寄せ、スティックを渡しシンバルを叩かせた…それに合わせて右手でドラムを叩き始めた。するとベースのナッシーさんがベースを弾き、更に小池さんのピアノが加わった…

 何だか楽しいジャズ教室のようだった…それから観客からスティックを受け取りそのまま演奏を続け、一曲のジャズを仕上げた…

 この写真のブログへの掲載を快諾いただいたのでアップさせてもらった。

 MCのバイソンさんが、名前なしー(ナッシー)はマイナス50℃の北極圏カナダで生まれたと紹介すると、ナッシーさんは即座にスマホを取り出し、それを覗きながら「現在の気温はマイナス20℃です。今日は暖かいです。」と切り返し、どっと笑いが起こった…

 彼の奥さんは日本の女性で結構日本語が上手で、しかもとつとつと話すトークも魅力的で、いつも心を和ませてくれる…

 今晩のライブでは、1stステージが終わっても控室には行かず観客と懇談していた…

 息子はナッシーさんの弓で弾く音色を聴きたくてアルバム「 Dearly Beloved Jazz」に収録されている曲「 I Love You,Porgy 」をリクエストすると「 OK! 」と言って喜んで受けてくれた。

 前回のライブで聴いた音色も耳の奥底に残っているほどに印象深かったが、リクエストに応えての彼の演奏は真剣そのものに見えて、こちらも息を殺して聴き入った…

 お腹に伝わってくるような重低音のベースの響きに感動した。

 そして、ライブが終わると今日は間違えなくて良かったと終演後に呟いた…

 今度は「A列車で行こう」のリクエストが入った。するとバイソンさんは、見学に来ていたカイト君を呼び「カイト君に演奏させてください。」と言うと拍手で応えた。今日の観客は、夏のライブでバイソンさんがカイト君にドラムを教えているのを知ってた…でも、その時はスティックの握り方や降り降ろし方などの基本的なことを教えていたのに、大丈夫かなあと思いながら見ていたのだが、はにかみながらもドラムを叩き始めた。ピアノとベースの助けもあって、次第に調子を上げ堂々とソロ演奏もこなし、大きな拍手が起こった…

 たった4ヶ月でこんなにも上達するのかという驚きと共に、ただただ微笑ましい光景にほっこりした気持ちになった…

 彼は、後進の指導にも力を入れておりドラム・リズムクリニックを主宰。

 ワインを頂き、上機嫌の観客からどんどん声が掛った…「速い曲が好い…スィング・スィング」とのリクエストにも応えた。

 バイソンさんのドラムが次第にアップ・テンポで煽るとベースもピアノもそれに応戦し、大きな拍手が起こった。

 今度は「タンゴが好い」と言い出した…

バイソンさんが「タンゴにはアルゼンチン・タンゴとコンチネンタル・タンゴがありまして…」と解説を始めると、それを遮るように「黒猫のタンゴ」と声が掛った…

 こうなると留まることを知らない。それでも小池さんが「黒猫のタンゴなら知ってますよ」と言ってピアノを弾き出すと、ドラムもベースもそれに加わった…

 私は二杯目にジャックダニエルのオンザロックを作ってもらいながら「今晩は我儘ライブですね」と声をかけると苦笑いをしていた。ジャズに詳しいマスターも…

 最後に「上を向いて歩こう」をリクエストされるに至り、バイソンさんもとうとう戦意を無くしてしまったのか、お茶を濁しながら後始末を始めてしまった…

 そんな訳で「アンコール」を要望するタイミングを無くしてしまい、幕切れの良くないライブになってしまった。

 何だか忘れ物したような心残りがあった…最後にジャズのスタンダード・ナンバーをリクエストして、気持ちの好い演奏で締めくくってもらいたかったと悔やんだ。息子も同じ思いであったようだ…

 ライブが終わってから、バイソンさんと少しお話し、一緒に写真を撮らせてもらった。するとバイソンは立ち上がり、私をドラムの前に座らせ、こんな写真の演出をしてくれた。そんなバイソンさんを好きになってしまった…

 

 山本剛さんと小南毅
 山本剛さんと小南毅

<追記>

 今回の「バイソン片山トリオ」のライブの前に、息子がGoogleで「バイソン片山 山本剛」で検索して、「画像」を表示すると、なかほどに左のような写真が掲載されると教えてくれた。私も試してみた…

 そして「山本剛さんとの写真」をクリックすると、私のブログにリンクされるようになっていた…

 どなたかが、この写真を投稿して下さったのでしょうか…何とも不思議な思いを抱いております。